2021年11月26日公開『ミラベルと魔法だらけの家』ネタバレ考察です。
久しぶりのミュージカルアニメということで、期待感が高まりますね。
まずはあらすじです。
「“魔法だらけの家”へ、ようこそ──」
ミラベルと魔法だらけの家
魔法の力に包まれた、不思議な家に暮らすマドリガル家。
家族全員が家から与えられた“魔法のギフト(才能)”を持つ中で、少女ミラベルだけ何の魔法も使えなかった。
ある日、彼女は家に大きな”亀裂”があることに気づく──それは世界から魔法の力が失われていく前兆だった。 残された希望は、魔法のギフトを持たないミラベルただひとり。
なぜ、彼女だけ魔法が使えないのか?
そして、魔法だらけの家に隠された驚くべき秘密とは…?
“魔法”と“家(家族)”がキーポイントになるようです。
以下、ネタバレ考察に続きます。
動画で見たい方はこちらもどうぞ!
目次
ディズニーの新定番はヴィラン不在
ディズニー発ミュージカルは4年ぶりということで、ミラベル登場から歌って踊りまくり!
ミラベルが家族について紹介する『ふしぎなマドリガル家』
あらすじにもある通り、このマドリガル家の血族で唯一ミラベルだけが魔法を使えないという設定です。
(結婚により家族になった男性たちは魔法は使えず、その子どもたちは使える。)
この冒頭のシーンと、後の家族の記念撮影のシーンは対になっています。
ミラベルは「マドリガル家の一員」という自意識が人一倍強いのに、記念撮影の時にミラベルがいなくても家族は気づいてくれません。
薄々感じてはいたけど、私は家族にとって必要のない人間なのでは?という想いで打ちひしがれたミラベルが歌うのは『奇跡を夢みて』
このフレーズでピンと来るのは、『ムーラン』の『家に名誉を』
ミラベルの場合は、誇り(名誉)を得たいと熱望しているので、ムーランとはまた違う立場ですが、家族を大切に想う姿勢は変わりませんね。
また今回ミラベル“だけ”魔法が使えないという設定でもう1つ思い出すのは、『アナと雪の女王』
エルサは作中で1人“だけ”魔法が使えるという設定なので、ミラベルとは真逆です。
実際は誇らしいギフトを持っている家族も、悩みやプレッシャーに押しつぶされそうになっていることが明かされていきます。
文字通り家に亀裂が入って崩壊しかける中で、家族の魔法も失われてしまうのですが、黒幕かと思われた祖母アルマとも和解して最終的には大団円。
ストーリーが中盤からミステリー展開になるものの、「なぜミラベルにはギフトがないのか?」「なぜアルマは魔法の力を授かったのか?」という種明かしはありません。
ayumi14
ラストまで完全におばあちゃんが悪役だと思っていました……
一旦は失われた家族のギフトも復活し、全員が収まるところに収まって終わりという展開にはちょっと拍子抜けしましたね。
ミラベルのギフトとは何だったのか
マドリガル家では一定の年齢になると、ギフトを授かる儀式をします。
ミラベルのときも同様に儀式を執り行うも、ギフトを授けてくれるはずのドアノブは消失。
ミラベルの従弟であるアントニオには、他の家族と同じようなギフトが与えられ、ミラベルだけが宙に浮いた状態です。
ayumi14
アントニオにギフトがなければ…とちょっと願ってしまいました
そんなミラベルを見て、町の子どもたちはあきれた様子でこう言います。
ギャグのように挿入されますが、案外これが真実なのかもしれません。
というのも、ミラベルはギフトがない後ろめたさから、家族崩壊の危機を阻止しようとあの手この手で頑張ります。
一方、他の家族はというと、危機を何となく感じ取ってはいるものの見て見ぬふりをしているのです。
ギフトがあるために、それを失うことを恐れて現実を直視できないという、皮肉な展開です。
またラストでは祖母アルマから「ミラベルこそギフト」というセリフが出ます。
そして蝶が飛び、そこからエンカント全体が光に包まれていくのですが、この蝶がポイントです。
ストーリーの中で蝶はところどころ登場します。
- アルマとペドロが恋に落ちる~アルマがギフトを授かるまでの回想シーン
- ブルーノのビジョンの中で家族を救う鍵
- ミラベルのTシャツの肩(装飾)
このストーリーの中で蝶はギフト(魔法)を与える“神”のようなポジションであり、その蝶はミラベルの肩の装飾として実はずっとマドリガル家の騒動を目の当たりにしてきました。
(幼少期のミラベルがギフトを授かるシーンでは蝶結びのヘッドアクセサリーとして登場しています。)
何なら劇場ポスターのデザインでは、ミラベルの手に蝶が載っているものもあります。
スペイン語解剖で解像度を上げる!
『ミラベルと魔法だらけの家』の舞台は南米コロンビア。
祖母アルマが祖父ペドロと町を追われ、たどり着いたのがエンカントです。
時代背景は明らかにされていませんが、コロンビアの歴史を紐解くと、1946年以降は“暴力の時代”と表現されており、エンカントが形成されたのも1940~50年代ではないかと推測されます。
そしてコロンビアの公用語はスペイン語ということで、ストーリーでもキャラクターが感嘆詞にスペイン語を使う場面も。
いくつか印象的だったワードを調べてみました。
- encanto:魅力、魅惑
- casita:家
- Te amo:愛してる
- Empanada:肉入りパイ
- abre los ojos:目を開けて
最後の「abre los ojos」はアルマがストーリーの最初と最後でミラベルに呼びかける言葉です。
(スペイン語詳しくないので間違っていたらすいません…元ネタあれば教えてほしい…)
ストーリーの冒頭で登場するのは、ギフトの儀式直前のミラベルとアルマ。
暗い部屋の中で呪文のように唱えられるのが「abre los ojos」、つまり「目を開いてあなたのギフトを受け取りなさい」という意味です。
そしてラストでも同じようにアルマが呟きますが、これはまた意味が異なり、「目を開いて現実を見ましょう」ということなのではないでしょうか。
ミラベルには恋愛要素もなく、かわいい動物のお供もいないので、これまでのディズニー作品に比べると引っ掛かりが少ないことは否めません。
しかしミュージカル×ミステリー要素だけで1時間49分はあっという間ですし、『リメンバーミー』同様画面が色鮮やかでとても賑やかなので、実際に観てみると「面白かった!」と感じる方が多いのではないでしょうか。
劇場で販売されているグッズもとてもかわいく、見ているだけで楽しくなるようなものばかりでした。
是非、大きなスクリーンで楽しんでほしい作品です。
以上、『ミラベルと魔法だらけの家』ネタバレ考察でした!