2022年11月23日公開『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』考察です。
ayumi14
めっちゃ好きなタイプのディズニー映画でした…!!
前半はネタバレなし、後半はネタバレありの考察です。
ネタバレブロックはカラーリングしてあるので、それ以上読み進めたくない方は回れ右してくださいね。
さっそくあらすじを紹介します。
伝説的な探検家の息子でありながら、冒険嫌いの農夫として愛する妻と息子とともに静かに暮らすサーチャー・クレイド。
ディズニー最新作『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』
そんなサーチャーが家族とともに冒険の旅に巻き込まれ辿り着いたのは、見たことがない幻想的な世界──生き物のように動く不思議な大地や、キラキラと光を放つ未知の生命体があふれる、“もうひとつの世界<ストレンジ・ワールド>”だった。
この謎に包まれた世界は、いったい何なのか? そして、なぜサーチャーたちの命を狙ってくるのか? 旅の終わりには、これまでの常識を覆す《衝撃の真実》が待ち受けていた…。
ディズニー史上最も不思議な<もうひとつの世界>、この結末はあなたの世界も変える。
このキャッチコピーに惹かれた人も多いのではないでしょうか。
映画批評サイトRottenTomatoesの評価では74%以上が好意的なレビューをしています。
ではここから考察に入って参りますのでお付き合い下さい!
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目次
キャラクター・用語解説
まずは『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』のキャラクターと用語を紹介します。
サーチャー・クレイド
本作の主人公サーチャーは40代農夫。
父親で冒険家イェーガー・クレイドの一人息子。
10代の頃、イェーガー一行と山を越える途中でパンドを発見。
街に持ち帰ったことで英雄的存在になっている。
父親を反面教師にし、家族を何よりも大切にする“割といい父親”。
声優はジェイク・ギレンホール/原田泰造。
イェーガー・クレイド
自称“生まれたときから冒険家”。
山の向こうにたどり着くことを目指し、過酷な環境にも立ち向かう。
パンドをめぐって10代のサーチャーと対立し、結果1人で山を越えることを決意。
たまたま地下に落ち、それ以降25年間ストレンジ・ワールドを彷徨っていた。
サーチャーと共に目標に到達することが夢だった。
声優はデニス・クエイド/大塚明夫。
イーサン・クレイド
サーチャーの16歳の一人息子。
農業の手伝いをする一方、仲間とカードゲーム「開拓プライマル」をする10代らしい一面も。
仲間の1人ディアゾという男の子のことが好き。
サーチャーからは農家向きだと言われるが、ストレンジ・ワールドで冒険をする中で「これが本当の自分」と感じている。
全てを敵・味方に分けるのではなく、物事の本質を見抜くバランス感覚を持つ。
声優はジャブーキー・ヤング=ホワイト/鈴木福。
メリディアン・クレイド
サーチャーの妻で、イーサンの母。
家族とコーヒーと飛ぶことが好きで、飛行船で農薬を撒くのが日課。
飛行船の操縦だけでなく、修理の腕も良くカリストに褒められている。
声優はガブリエル・ユニオン/松岡依都美。
レジェンド
クレイド家の飼い犬。
左前足がないが、動きに全く問題はなく活発。
部屋の中で粗相をすることがしばしばあり、しつけがなっていないと言われることも。
人懐っこく、人間だけでなくストレンジ・ワールドの未知の生物にもフレンドリーに接する。
気分が高揚するとすぐ人の顔を舐め回し、その度に周りの人を困惑させる。
声優はhim self /彼自身。
カリスト・マル
イェーガー探検隊の一員で、現在はアヴァロニアの大統領。
25年前のサーチャーとイェーガーの対立を仲裁し、パンドを持ち帰ることに賛同した。
パンドが枯れるという危機を見抜き、原因究明のためにサーチャーに協力を要請。
戦闘も得意で、ピンチのときはイェーガーに並んで頼りになる存在。
声優はルーシー・リュー/沢海陽子。
スプラット
ストレンジ・ワールドに生息する謎の生命体。
弾力のある身体を持ち、身振りで意思疎通が可能。
イェーガー曰く、リーパーの偵察係。
侵入者を発見し、リーパーの生贄として連れていくことが本来の役割だが、イーサンと意気投合しストレンジ・ワールドのガイド役になる。
アヴァロニア
四方を雪山に覆われた国。
資源が少ないため、人々は電気が通らない不便な生活を強いられていた。
山の向こう側にアヴァロニアの未来があると信じられているが、たどり着いた者はいない。
サーチャーがパンドを持ち帰ってからは電気が通り技術も進歩。
飛行船を主な交通手段にしている。
パンド
25年前にサーチャーが持ち帰った緑色に光る実。
雪山に生えていた。
「山を越える」か、「パンドを持ち帰る」かでイェーガー探検隊は意見が割れた。
ぶどうのように房状に実がなり、素手で触ると電気が走る。
パンドの実自体が電池の役割をし、そのまま燃料として使用可能。
健康な実は発光しており、呼吸するように動く。
アヴァロンにはパンド農家がたくさんある。
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』のキャラクターと用語を紹介しました。
パンドは食べ物なのかと思ったら、まさかの「電力資源」という設定には驚きです。
そして電力資源を持つことで、人々の生活が一気にうるおい、枯渇することは一大事というのもまたリアル。
タイトル『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』だけ見ると、空想の世界のストーリーのように感じます。しかし根幹は現実世界に則しているため、ファンタジーが苦手な方も十分楽しめるのではないでしょうか。
ストーリー考察|未来はなにを求める?
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』は親子3世代が活躍します。
- 祖父イェーガーは生まれながらの冒険家。生まれ持ったものに自信があるイェーガーは、誇り高い冒険家として生きるために家族を大切にできなかった。
- 父サーチャーは冒険家になるべく育てられるも向いていないと自覚している。それを反面教師にしたサーチャーは家族と仲良く農家を営むが、いつのまにかイーサンの生き方にも口出しするようになってしまう。
- 孫イーサンは農業も冒険も嫌いではないが、自分らしさを探している。イーサンは家族に不満はないが「自分らしく生きること」を望んでおり、サーチャーにはいまいち理解されない。
ayumi14
世代間のすれちがいがリアルすぎる…
家族の未来は、1つではありません。
冒険家の子供だから、農家の子供だから、同じ未来を選ばないといけないわけではないのです。
しかしイェーガーもサーチャーも「自分の未来が最善」と信じているため、子供に押し付けてしまいます。
一方、イーサンがストレンジ・ワールドで感じた「自分らしさ」は、冒険だけでも農業だけでもありませんでした。
イーサンらしい未来とは「共存」。
イーサンはイェーガーとサーチャーの良いところを掛け合わせた、ハイブリッドのような存在でした。このイーサンの未来が、私たちの世界のリアルな未来にも通じるのではないでしょうか。
また「アヴァロニアの未来」も重要なキーワードです。
物語の冒頭で、「アヴァロニアの未来」は山の向こう側にあると信じられていました。
資源の少ない不便な生活を脱し、理想郷にたどり着くことが民意であり、イェーガーはそのために必死に冒険をします。しかしなぜ「山の向こう側」に理想郷があるのか、その根拠は語られませんでした。
この「アヴァロニアの未来」は一種の宗教のような考え方です。イェーガーも「より良い未来」に到達することより、「山の向こう側」に行くという「功績」を欲するようになっていきます。
本当に「アヴァロニアの未来」を目指すなら、「山の向こう側」という不確かな希望ではなく、目の前の「パンド(資源)を持ち帰る」という選択ができたはずです。しかし25年前の時点では、それができませんでした。
そしてストレンジ・ワールドに迷い込んだ3世代が、立ちはだかるものを敵とみなすか、共存を目指すかでも大きく意見が分かれました。敵味方の区別をしたがる親世代に対し、イーサンは共存を説くのです。
60代イェーガー、40代サーチャー、10代イーサンで「未来」に対する考え方が違うのは当然。年齢によって、その先に広がっている「未来」は全く別物だからです。
『ストレンジ・ワールド/もうひとつの世界』というタイトルは、地下世界を指すストレンジ・ワールドと、未来を指すストレンジ・ワールドのダブルミーニングと言えるかもしれません。
【ネタバレ注意】リーパーの意味とパンドの正体
ここからはネタバレありの考察ですので、未見の方はぜひ鑑賞後にお読み下さい。