【ズートピア2】承認欲求と裏テーマ「逆失楽園」を徹底考察

2025年12月5日公開『ズートピア2』ネタバレ考察です！

ディズニーにとって紆余曲折あった2025年の年末にいよいよ公開になった『ズートピア2』
興行的にも最高のスタートダッシュを切り、世界的ヒットはほぼ確約されているようです。

今回は久しぶりに公開日にディズニー映画を観て、興奮冷めやらぬ状態のまま書いています！
がっつりネタバレするのでご注意ください⚠️

映画史的オマージュに隠されたディズニーの「攻め」の姿勢

『ズートピア』は1作目からオマージュの多い作品として知られていますが、今回はディズニー・ピクサー作品の自己言及から、名作映画『シャイニング』まで、その引用の深さが作品のメッセージ性を補強しています。
これは、過去に囚われないというディズニーの攻めの姿勢の表れでしょう。

『ズートピア2』には、自作・他作を意図的に引用し、「守りに入らない」という攻めの姿勢を感じさせる描写が多数存在します。

ディズニー・ピクサーからの引用

• フライパンで人を殴るシーンは『塔の上のラプンツェル』
• ネズミが頭の上に乗るシーンは『レミーのおいしいレストラン』
• 『アナと雪の女王』のウェーゼルトン侯爵を模したキャラが贋作DVDを売る皮肉なシーンも！
• 途中で『フレンド・ライク・ミー』を歌うジーニーと同じ動きをするキャラがいたような…
• ラストで雪の迷路を彷徨うシーンは、スタンリー・キューブリック監督の名作『シャイニング』

ayumi

個人的にパウバートがジュディに絡んだ瞬間からアナ雪のハンス王子にしか見えず、展開的にも「やっぱり…」という感じでした

オマージュが多い一方で、従来のディズニー定番のオープニングは短縮バージョンが採用されています。
音楽も『ズートピア』らしいノリで攻めの姿勢が感じられ「過去の成功体験に依存しないぞ！」という強い意志が読み取れます。

ayumi

私が毎回ディズニーオープニングで号泣するタイプなので、逆に助かりました（？）

1回見ただけでは見逃すようなオマージュも隠されているはずです。
もし他にご存じの方がいれば、ぜひ教えてください。

「誰に認められなくていい」が突きつける承認欲求のリアル

ックは「誰かに認めてもらわなくてもいい」と言いますが、『ズートピア2』の核心的なテーマは、キャラクターの行動原理を決定する「承認欲求の光と影」です。
この作品は、大人向けの「承認欲求が幸福に直結しない」という厳しい現実を突きつけています。

ゲイルには承認欲求がなく、「爬虫類に対する世間の誤解を解ければいい」「家族と家に帰れればいい」というシンプルな行動原理しか持っていません。
ズートピアを追放された側の爬虫類なのに、一番シンプルに幸せそうなのはゲイルという構造は、承認欲求に囚われた哺乳類たちへの痛烈な皮肉だと考えられます。

「承認欲求がないゲイルのシーン」に焦点を当てて観ると、他のキャラクターのこじらせが浮き彫りになるかもしれません。

「逆失楽園」の構図と謎の鳥の羽

『ズートピア2』は、ズートピアを追放されたヘビ（爬虫類）から物語が始まるという点で、『旧約聖書』の構図を反転させた「逆失楽園」のテーマを深く内包しています。
この文学的解釈は、ラストに示された次作への伏線を論理的に補強します。

『旧約聖書』ではヘビが人間をそそのかして人間が楽園を追放されますが、『ズートピア2』ではヘビが発明したウェザーウォールを哺乳類が奪い、ヘビがズートピアを追放されるという、見事な逆転構造が示されています。

そしてラストには、『ズートピア3』への伏線と思われる「鳥の羽」が落ちてくるシーンがありました。
本作では、ズートピアの外の世界、「海外」があることも語られており、爬虫類と一緒に鳥類も海外に避難していたのかもしれません。
キリスト教に準えて考えると鳥類は割と好意的に捉えられているため、爬虫類とはまた違う境遇で物語に絡んでくる可能性があり、今後の展開が気になります。

劇中でマーシュマーケットという海洋生物が集まる市場が出てくるのですが、そこの雰囲気が最高にスプラッシュマウンテンで良かったです。
『南部の唄』の主人公がうさぎどん、『ズートピア』の主人公はうさぎのジュディというのも被ります。

ayumi

もしスプラッシュマウンテンをリニューアルしないといけないなら、ズートピアベースでもいいなぁと思ってしまいました！

『南部の唄』ではうさぎどんときつねどんはあまり仲良くないですが笑

以上、『ズートピア2』ネタバレ考察でした！