【ネタバレ考察】チップ&デールがマルチバースして無礼講?

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ayumi

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This is the way.

ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
YouTubeも更新したりしなかったり。

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『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』のネタバレ考察です。

ayumi14

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昭和の終わりに生まれた世代には懐かしすぎるレスキュー・レンジャーズ…!!

人気キャラチップ&デールの初主演長編映画という記念すべき作品でもあります。

レスキュー・レンジャーズを知らない世代も楽しめること間違いなし!

早速考察していきます。

マルチバース・オブ・チップ&デール

子どものころからの友人、チップとデールは大人になり、ショービジネスの世界へ進んだ。主演TVシリーズをきっかけに、二人は世界中で大人気を博し一世を風靡する。しかし、その栄光は長くは続かず、シリーズは打ち切り。レスキュー・レンジャーズは解散。いまや二人は別々の人生を送っていた。
しかし、かつての仲間が事件に巻き込まれ、再びタッグを組むことに!?

『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』|ディズニープラス
ただのリバイバル作品じゃない!

タイトルにもある「レスキュー・レンジャーズ」、これは実際に放映されていたアニメシリーズなのですが、本作品の中では「チップ&デールが演じた人気作」という劇中劇のスタンスになっています。

ではそもそも『レスキュー・レンジャーズ』とは何だったのか?

オープニングだけでもいいので観て下さい…

1943年のスクリーンデビュー以来、世界中で愛されているディズニーのシマリスの名コンビ、チップとデール。その人気をより加速させたアニメーションシリーズ『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』(1989)では、個性豊かな仲間たちと共にレスキュー隊を結成。みんなのリーダー的存在で頼れるチップと、ちょっぴりマヌケで時々チームを困らせるデールがぶつかり合いながらも絶妙なコンビネーションを発揮し、難事件に立ち向かう名コンビは世界中で大人気を博したのだった―

『チップとデールの大作戦 レスキュー・レンジャーズ』|SCREEN ONLINE

この『レスキュー・レンジャーズ』は実際は全65話のアニメシリーズで、日本では1989年~1990年にテレビ東京系で放映されました。

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本作品内の会話ではシーズン3祝いとかやってましたが??

ここが『レスキューレンジャーズ』(1990)と『レスキューレンジャーズ』(2022)の違いです。

2022年版では実際の『レスキューレンジャーズ』よりも人気があり、シーズンや話数も多かったという設定。

またチップ&デールのキャラクター自体は『プルートと二等兵』(1943)がデビュー作ですが、2022年版では二人の出会いは1982年。

学校で浮いていた二人がカフェテリアで仲良くなるシーンが作品冒頭に登場します。

1990年『レスキューレンジャーズ』の後の人気は振るわず、チップは保険の営業マン、デールは“ディズニー・アフタヌーン”というかつての人気キャラ達が集まるグループに属しながら役者としての再起を画策している状況。

まさかチップ&デールでマルチバースを見る日が来ると誰が想像したでしょう。

このマルチバース設定自体が、本作品の揶揄する「現代の流行」なのかもしれません。

絶対に踏み込めない領域

本作品ではディズニーに限らず、20~21世紀の様々な映像作品のキャラクターが登場します。

ほんの一瞬しか出ないキャラクターも多いので、拾いきれないレベルです。

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個人的にはオズの魔法使いのドロシーが一瞬足元だけ出演していたのが嬉しかったです。

ディズニー版首もげオズじゃない方ですよもちろん(多分)

ここが本作品のすごいところで、2Dアニメ・3DCG・実写が混在しているので、どんなキャラクターも共存できる世界線に仕上がっています。

  • 実写の人間や動物、背景
  • チップは2Dアニメ
  • デールはキャリアアップ手術を施して3DCG
  • マペット
  • クレイアニメーション
  • 2000年代の未成熟なCG技術を使ったキャラクター

しかも驚くべきことに、ディズニーの枠を超えた人気キャラが出演しているのです。

  • アグリーソニック/実写映画の初期案バージョン(パラマウント)
  • ウォレスとグルミット/ひつじのショーン(ドリームワークス)
  • シュレック(ドリームワークス)
  • ポーラーエクスプレス(ワーナー)
  • キャッツ(ユニバーサル)
  • ガーフィールド(20世紀FOX)

特にアグリーソニックは、実際に公開された実写映画ではなく、初期案バージョンの不気味さを忠実に再現(加齢描写も)しています。

ソニック・ザ・初期案
ソニック・ザ・修正案

物語のラスボスは自社キャラでしたが、他社キャラで一番豪快にいじられていたのはソニックかもしれません。

一方、ハイブリット無礼講映画である本作でも踏み込めなかった領域があります。

それがディズニー・プリンセスです。

これだけ多くのキャラクターを出演させ、ラスボスにはディズニー・クラシックの名作からピーターパンを引っ張ってくるほどの気合の入りようなのに、プリンセスたちは姿を現しません。

フランダーもリュミエールも出てくるのに、アリエルやベルは出てこないのです。

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『シュガーラッシュ:オンライン』の教訓…???

本作品の目玉シーンとも言える豪華共演

『シュガーラッシュ:オンライン』の構図は、実は『チップとデールの大作戦 レスキューレンジャーズ』とほとんど同じでした。

プリンセスに限らず、どのキャラクターも“役者”に近い立場で、ファンにエンタメを提供しているという構図です。

しかし『シュガーラッシュ:オンライン』でのこのプリンセスの共演は、歓迎の声ばかりで迎えられたわけではありません。

白雪姫に始まるクラシック作品~ルネサンス期~アナ雪までの全てのプリンセスを同じ次元に集めることで、それぞれの時代の女性観や作品のメッセージが喧嘩して、不協和音を奏でてしまいました。

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白雪姫の世界にアナみたいなプリンセスがいたら、王子様には受け入れられないし、真っ先に毒リンゴ食べてそう…
(ディスってません)

しかも『シュガーラッシュ:オンライン』のプリンセスのシーンでは、ピクサー唯一のプリンセス・メリダも出演しているのですが、「ちょっと変なコ」として妙な空気感を出している演出もなされました。

ディズニー社内の自虐ネタも大いにスベッてしまう始末。

この教訓が活かされたのか、『チップとデールの大作戦 レスキューレンジャーズ』にはディズニープリンセスの出演はなし。

ディズニー・プリンセスはディズニーの看板コンテンツの1つですが、キャラのアップデートが難しいコンテンツでもあります。

今回もラスボスが初老のピーターパンということで、とても思い切った演出ではありますが、これがディズニーの切り込めるギリギリなのかもしれません。

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ラスボスが初老のシンデレラだったらものすごい火種になっていた可能性がありますね…

ディズニー・プリンセスの物語は基本的に「ずっと幸せに暮らしました」という結末が用意されているのも要因の1つでしょう。

偽造版という身近な悪

本作品のラスボス・ピーターパン(スイートピート)の目的は、往年のキャラを微妙に作り変え、偽造版の映画を制作すること。

世界征服やお宝を独り占めする、かつてのような単純な目的ではないところがこの本作品の“らしさ”です。

ピーターパンは名作に出演して栄光を手にするも、年齢を重ねるとともに世間のピーターパンのイメージからは遠く離れてしまい、最終的には犯罪に手を染めてしまいます。

「美しい義娘が憎い……」
「権力と富が欲しい……」
「子犬の毛皮が欲しい……」

ディズニーに限らず多くのヴィランズの目的は、視聴者の境遇からは離れており、あくまで「物語の中の話」というスタイルで観る分に問題ないというレベルでした。

しかし現代はもはや悪役にも共感出来る設定がないと、物語全体の訴求力が落ちていると感じるようになってきているのかもしれません。

本作品は現代を舞台にしていることもあり、ヴィランにもリアリティを持たせたのでしょう。

偽造版作品という悪は、大人はもちろん子供でもインターネットの世界で触れる機会があります。

そしてディズニー社だけでなく作品を世に出すクリエイターにとって偽造版は強大かつ、根絶するのが難しい悪です。

制作側にとってのヴィランズを、思い切って作品内でもヴィランズにしてしまうという面白い試みの1つと言えるでしょう。


『チップとデールの大作戦 レスキューレンジャーズ』(2022)を考察しました。

ディズニーファンだけでなく、映画ファン全体で楽しむことが出来る稀有な作品に仕上がっています。

近現代のメディア博覧会的に観るもヨシ、ディズニー・シネマティック・ユニバースとして観るもヨシ、観る人によって気づける要素は無限大でしょう。

是非ディズニープラスで楽しんで下さいね!

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