全ての黒幕はママ・ココ?リメンバー・ミーのナゾ

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ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
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今回は2017年(日本公開は2018年)のピクサー作品『リメンバー・ミー』を考察します。

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タイトルを聞いただけで涙が……ッ!!

個人的に初見では完全に舐めてかかっていました。

ガイコツが出てくる?ナイトメアビフォアクリスマスじゃあるまいし?くらいの感じです。

VHS時代から親しんだ思い出の作品

しかし今となっては、ピクサーで好きな作品と言えば絶対にこの作品を思い出します。

そんな『リメンバー・ミー』の魅力も含めて考察していきましょう。

動画でサクッと見たい方はこちら。

時代設定から見える皮肉

まずは『リメンバー・ミー』の概要を紹介をします。

ミュージシャンを夢見るギターの天才少年ミゲル。だが、彼の一族は代々、音楽を禁じられていた。ある日、ミゲルは先祖たちが暮らす“死者の国”に迷い込んでしまった。日の出までに元の世界に戻らないと、ミゲルの体は消えてしまう!そんな彼に手を差し伸べたのは、陽気だけど孤独なガイコツ、ヘクター。やがて二人がたどり着く、ミゲルの一族の驚くべき“秘密”とは?すべての謎を解く鍵は、伝説の歌手が遺した名曲“リメンバー・ミー”に隠されていた…。

ディズニー公式|リメンバー・ミー
ミゲルの子供特有のプニプニ感が愛らしい

第90回アカデミー賞の長編アニメ映画部門・主題歌賞をW受賞した、輝かしい功績のある本作品。

舞台はメキシコ。

名言はされていませんが、恐らく、時代はほぼ現代です。

1910年代(後半)ママ・ココ誕生
ヘクター死亡(21歳)
1942年デラクルス死亡(46歳)
2010年代(後半)ミゲル12歳
ママ・ココ死亡(100歳)
リメンバー・ミー年表

生前のヘクターとデラクルスの出会いなどは語られませんが、二人の様子を見る限りほぼ同年代だったことが伺えます。

この年表で考えると、デラクルスの方がヘクターより少し年上ということになりますが、年齢も含めてヘクターを下に見ていたからこそ、何のためらいもなく殺すことが出来たのでしょう。

また現代ではミゲルが、明らかにどこかから拾ってきたダイアル式のブラウン管テレビと、VHS再生機を密かに持っていることからも、既にこの機材が過去の遺物になっている時代だと考えられます。

2010年代はVHDはDVDに取って代わっていますし、液晶テレビが主流です。

生者の国の町には(日本人から見て)時代を感じさせるものはあまり見当たりません。

むしろミゲルの実家リヴェラ家は伝統的な靴職人の家系で、作り方も創業当時からほとんど変わっていない様子です。

一方で、死者の国の出国ゲートでは、液晶画面で顔を判別していたり、事務局には使い古されたパソコンがあったりと、むしろ死者の方が文明の利器を使いこなしている印象。

生きているけど変わらない人、死んでいるけど変わっていく人、なんだか皮肉に感じますね。

語感以上の魅力はスペイン語から

『リメンバー・ミー』の舞台メキシコの公用語はスペイン語です。

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スペイン語といえば去年いろいろ調べた記憶が……

2021年公開『ミラベルと魔法の家』は南米コロンビアは舞台でした。

今回も様々なスペイン語が出てくるので解説して参ります。

  • mariachi:楽団
  • alebrije:空想の動物をかたどった伝統工芸品
  • amigo:友達
  • juanita:ファニータ 女性名
  • Un Poco Loco:少し狂った
  • la llorona:泣き女
  • Dante:ダンテ・アリギエーリ イタリア最大の詩人

ミゲルが靴磨きをしている場所「マリアッチ広場」は、「楽団広場」という意味です。

いかにメキシコが国を挙げて音楽を愛しているかが伝わります。

またミゲルとヘクターが2人で歌う『ウン・ポコ・ロコ』の意味が「少し狂った」だとは少々驚きですね。

結末を知っているとこのシーンですでに泣いてしまう

空の色はアイ・ミ・アモール アイ・ミ・アモール
赤色と言うアイ・ミ・アモール アイ・ミ・アモール

Adrian Molina/竹本浩子

アイ」は感嘆詞、「ミ・アモール」は「愛しい人」という意味。

「空の色を赤色と言ってしまうような、少し狂っているけど、愛しい人」という内容の歌です。

スペイン語は響きが愛らしくて、音楽との相性も抜群ですね。

そして、ミゲルが可愛がっている野良犬ダンテについて、デラクルスの映画に出てくる馬の名前から取ったことが由来です。

しかし元々ダンテと言えば、『神曲』の詩人ダンテという認識は全世界共通。

この『神曲』は『地獄』『煉獄』『天国』の三編から成る長編叙事詩です。

『リメンバー・ミー』のダンテは途中から「迷える魂を導くガイド犬」と呼ばれ、ミゲルをヘクターの元へ導く役割を担います。

死者の国に関する詩を書いた詩人ダンテと、死者の国を案内する犬ダンテ。

ミゲルが詩人ダンテを知っているかどうかは怪しいですが、犬がダンテと名付けられたところからすでにガイドは始まっていたと考えても良いかもしれないですね。

祭壇の写真のナゾ

物語終盤でヘクターはミゲルの家族だということが判明します。

それはヘクターが自分の娘ココに会いたいという呟きがキッカケなのですが、ちょっと違和感があるのです。

実はヘクターははじめからミゲルが家族だと知っていたのではないか。

初対面のシーンで、ヘクターはしっかり自己紹介していますが、ミゲルは家族の追っ手に気づいて名前を伝える前に走り出します。

よって劇中ヘクターはミゲルを「少年」呼び。

ところが正体が判明する前に1度だけ「ミゲル」と呼びます。

それは自分の写真を祭壇に飾ってほしいと改めてミゲルにお願いするシーン。

このシーンの直前、ヘクターとミゲルは口論になり別行動しているので、ミゲルがいない間に「生きている子ども=ミゲル」という情報がヘクターの耳に入っている可能性もあります。

しかしヘクターの「少年」呼びの回数は大変多く、これが「わざと名前を呼ばないようにしているのではないか」と感じる理由です。

敢えて名前を訊かないのも同様に、「元々名前を知っているから」。

家族だと知っていても、突然会ったミゲルに対して、一種の気恥ずかしさがあって呼べないのでしょう。

終盤の展開によって、死者の世界でヘクターはママ・イメルダと会ったということが暗示されます。

好ましい形での再会ではなかったものの、ママ・イメルダの口からココの様子、現代のリヴェラ家の様子を聞かされていて、その中にミゲルの情報も含まれていたのではないでしょうか。

そう考えてヘクターとミゲルの出会いのシーンを見返してみます。

ミゲルがヘクターの後を追いかけ、振り返ったヘクターが驚いて絶叫。

この叫びは「生きている子どもがいる!」という意味だと捉えがちですが、「何でこんなところに!?」という意味だとしたらどうでしょう。

元々名前を知っていたとしても容姿まではわからないはず。

「何でこんなところに!?」は恐らくミゲルがママ・ココの幼少期と似ているため、初対面では「ココが死者の国に!?」と勘違いしていたのではないでしょうか。

(顔部分は切り取っているとしても)ヘクターを含めた3人家族の写真を祭壇に飾っている理由も、「ママ・ココの幼少期とミゲルが似ている」ということを見ている人に気づかせるためです。

あんなにヘクターを嫌っていたママ・イメルダが、3人家族の写真を飾ることを許すとは思えません。

あの写真は、恐らくママ・ココのものです。

切り取ったヘクターの顔部分が、ママ・ココの引き出しから出てくることからもわかります。

  • 元々あった3人家族の写真のヘクターの顔部分をママ・イメルダが切り取る
  • その写真をママ・ココが拾って保管する
  • ママ・イメルダ亡き後、ママ・ココが3人家族の写真を飾るが、ママ・イメルダが怖いのでヘクターの顔部分は切り取られたままの写真を飾った
ayumi14

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原題が『Coco』なだけあって、ママ・ココは重要人物なのです……!!

『リメンバー・ミー』は何回観ても泣いてしまう、むしろ回を重ねるごとにちょっとしたシーンに気づきが多く、泣くポイントも増えていきます。

実はストレス発散、心のデトックスにもピッタリです。

歌とワクワク、気持ちのよい涙で楽しみましょう!

以上『リメンバー・ミー』の考察でした。

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