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いよいよ映画『ジャングル・クルーズ』が公開になりました!
例によって、Disney+プレミアアクセスでは劇場公開の1日前に視聴出来るのですが、私は『クルエラ』同様、今回も劇場で鑑賞しました。
先だって、あらすじを紹介します。
アマゾンに伝わる不老不死の伝説──<奇跡の花>を手にした者は、永遠の命を手にすると伝えられていた。
抜群の行動力と探究心を兼ね備えた博士のリリーは、この秘宝を求めて危険に満ちたアマゾンの旅へ出発する。
彼女が相棒に選んだのは、ジャングルに生息する珍しい動物や、スリルあふれる先住民の村、“滝の裏側”などの名所の数々を、ジョーク(ときにヤラセも…)を交えながら観光客相手にガイドする、クルーズ・ツアーの船長フランク。
彼にもまた<奇跡の花>を探す“ある理由”があった…。
目的地は、「伝説に近づく者は全て呪われる」と言われる、アマゾンの上流奥深くの“クリスタルの涙”。
はたして、そこで彼らを待ち受ける、謎に包まれた《恐るべき真実》とは…?ミステリアスなジャングルを舞台に、不老不死の力を秘めた<奇跡の花>をめぐる、壮大なスケールの争奪戦が始まる。
Disney+『ジャングル・クルーズ』
フランク船長役にドウェイン・ジョンソン、リリー博士役にエミリー・ブラント!
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この配役だけでも十分魅力的…!!
今回も要点3つに絞って考察していきます。
以降、【ネタバレ】考察ですので、気になる方は本編鑑賞後にまたお越し下さい。
目次
「大戦」と「女」に見る舞台背景
舞台は1916年ロンドンから始まります。
まずは時代背景を把握しておきましょう。
1916年 | 2月~12月 ヴェルダンの戦い(フランスvsドイツ) 6月~11月 ソンムの戦い(英国・フランスvsドイツ) |
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1917年、ドイツは連合国側の物資輸入を困難にするため、無制限潜水艦作戦と称し、潜水艦で無差別に船舶を攻撃。これにより、連合国側と結びついていた米国がドイツに宣戦した。その後、ドイツは不利な状況に追い込まれ、1918年の秋に同盟国側が相次いで降伏する事態に。同年11月11日、ドイツの臨時政府が休戦条約に調印し、戦争が終結した 。
『第一次世界大戦はなぜ起きたのか』
この作品のヴィラン、ドイツのヨアヒム王子は冷徹だが時に面白おかしく、ちょっと狂った指導者という様相で描かれています。
作り手がイギリス側なので、当時敵対していたドイツ帝国をコテンパンに滑稽に描いている印象でした。
一方、リリー博士は女性であるということが理由で、学会で冷遇されています。
当時の女性が置かれた状況も調べてみましょう。
「言葉より行動を」(Deeds not Words)を合言葉に、ハンガー・ストライキや爆破など過激なまでの示威行動を行い、国内に賛否両論を巻き起こした。保守的な政治家は彼らを「テロリスト」と呼んで非難。結成当初は女性労働者を対象にした団体だったが、1905年に本拠地をロンドンに移してからは、上流・中流階級の女性も加入。100カ所以上に事務所を持つ大規模な団体に発展した。
『テロリストと呼ばれた女性たち』
作中のリリー博士の行動を見ると、「いやいや、こんな過激なことするわけないし」「昨今の世相を見て、女性活躍の話を無理やり盛り込んでるだけでしょ」と感じてしまう部分もあるのですが、このWSPUの活動を知ってしまうと、案外ありえないキャラクターではないということが想像出来ます。
『ジャングル・クルーズ』はディズニーランドのアトラクションを基にしたフィクション映画であり、ある意味でSF作品なのかと思って観たものの、実際は様々な歴史的事実を下敷きにして作られた映画です。
アクションや冒険モノ好きだけでなく、歴史好きな層も楽しめるのでは!
アトラクションの夢を壊す?
映画冒頭で、フランク船長が観光客を連れて『ジャングル・クルーズ』をします。
大木に船がぶつかりそうになるのを危うく回避したり、カバが口を開けて迫ってきたり、先住民に攻撃されそうになったり、滝の裏側を通ったり。
船長が常にちょっとサムいジョークを飛ばしてくるところまで忠実に再現しています。
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船長のジョーク好きキャラは万国共通なんだ……!?(ちょっとホッとする)
しかし、このフランク船長の『ジャングル・クルーズ』、実は全てシナリオ通りの立派なアトラクション。
カバ | ある地点を通り過ぎるとせり出すように作られた人形 |
先住民 | 族長と示し合わせ済のイベント |
滝 | 船長お手製のチョロチョロ滝(流しそうめん風) |
文章に起こすと楽しみもへったくれもなく感じますが、よく考えたらこの仕組みって全てディズニーランドのアトラクションと同じだと気づきます。
アトラクションは作り物であるということを見せた上で、映画本編ではきっちり夢を見せてくれるのでご安心を。
気になる裏設定
本編の冒険にはリリー博士の弟マクレガーも同行します。
大胆で冒険好きなリリー博士とは違い、潔癖で着飾ることが大好き、どちらかというと冒険にはあまり乗り気でない気弱な男性です。
このマクレガーがフランク船長に身の上話をするシーンがあります。
マクレガー「どんな完璧な女性とお見合いをしても、僕は別の人を好きになってしまう」
ついには親戚一同に見放され、彼の味方をしてくれるのはリリー博士だけになってしまったため、彼女には恩を感じているという趣旨でした。
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「別の人」って…?
フランク船長は特にこの話について根掘り葉掘り訊くわけでもなく、何となく察したような表情をして、そのシーンは終わります。
私はこの「別の人」という表現、リリー博士のことを指しているのかと思いました。
だから例えば2人は実の姉弟ではないとか、そういう話が後に続くのかと思ったのに、期待したような事実はないようでモヤモヤしたシーンです。
だとすれば納得の展開ではありますが、この身の上話のシーン以外は彼がそんな素振りを見せることはないのでわかりづらいです。
映画で全てをネタ明かしする必要はないと思いますが、このモヤモヤは別に要らない要素かな、とちょっと思ってしまいました。
また映画のエンディングで、クレジットと共に絵画風に描かれた登場人物やシーンが映し出されます。
フランク船長は元々は16世紀スペインから、“クリスタルの涙”を求めてアマゾンにやってきた騎士団の1人。
当時地図の作成をしたのも彼です。
その後、先住民の呪いで不老不死になり、1916年現在も当時の姿のままアマゾンを彷徨っているという設定。
リリー博士の絵を見て、「遠近法が間違っている」と指摘したりと、専門的な知識もあるようです。
400年という長い時間を生きて来たフランク船長は、既に自分の人生を終わらせてしまいたいと考えており、ロンドンに遊びに来て!と言うリリー博士の誘いも拒否します。
船内の彼のキャビンには、最新の自動車などの乗り物やロンドンの街並みのカードなどが飾ってあり、絶対に興味があるはずなのに、です。
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独りきりの長い時間を想うと、楽に人生を終わらせたいと思うのも仕方ないのかも…
冒険の末、“クリスタルの涙”の1件が落ち着き、映画のラストではフランク船長はリリー博士やマクレガーと共にロンドンにいます。
自動車を運転し、後部座席にはジャガーのプロキシマを乗せて。
死にたがっていたフランク船長が、リリー博士やマクレガーとの出会いで人生を見つめ直し、もう一度生きる価値を見出した心境の変化は見逃せません。
この映画は基本的に冒険!アクション!ミステリー!という感じで、ロマンスもほんのちょっと、感傷的になるシーンはほとんどないのですが、エンディングだけは例外!
上記を踏まえた上で、是非最後までスクリーンから目を離さないで下さいね!
ちなみに裏設定?でもう1つ。
完全に私の妄想だと思いますが、映画序盤で高い本棚が並んだ資料室で、はしごに乗ったリリー博士が暴れまわすシーンがあります。
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これって、『ハムナプトラ』のオマージュでは?笑
『ハムナプトラ2』ではフランク船長を演じるロック様がスコーピオンキングを演じたことが有名ですし、舞台も『ハムナプトラ』は1923年と時代設定が似ています。
『ハムナプトラ』では最終的にエヴリンが本棚を全て倒してしまっていましたが、リリー博士は窓から自分が落っこちてしまったので、あくまで状況が似ているだけですが。
観ていて嬉しくなってしまったのでここにも書いてみました。
映画『ジャングル・クルーズ』が大ヒットしたら、もしかしてアトラクションにも少し変化が出てきたりするかも?
劇場でお家で、是非この機会に『ジャングル・クルーズ』を楽しんで下さいね!
以上、映画『ジャングル・クルーズ』の考察でした。