ウェンディはなぜ「子供でいたがった」のか|ディズニー映画『ピーターパン』

3 min 9 views
ayumi

ayumi

This is the way.

ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
YouTubeも更新したりしなかったり。

FOLLOW

1953年公開のディズニー映画『ピーターパン』の考察です。

「子供は大人になりたがるもの」なのに、なぜウェンディだけは子供部屋から出たくなかったのか。

この疑問から出発して考えていくと、ネバーランドの住人たちの「怖いもの」が全員同じ方向を向いていることに気づきました。


ウェンディとピーターパンは「同じ穴の狢」だった

まず、ウェンディについてです。

「子供は早く大人になりたがるもの」というのが一般的ですが、ウェンディにはその焦りがありません。パパをうまくいなす術も、ママへの取り入り方も心得ていて、言動はかなり大人びているのに、「大人になりたい」という気持ちが見えてこない。

なぜでしょう。

それは、ウェンディに同世代の友達がいないからだと思います。

原作(J.M.バリーの小説『ピーターとウェンディ』)でも、ウェンディが学校に通う描写は一度だけ出てきます。ナナに連れられて弟たちと三人で登校する場面です。ただ、それだけ。クラスメートとの交流も、友人の名前も、原作を通じて一切登場しません。ウェンディの日常は徹底して「家族」だけで完結しているんです。

女の子は特に友達の影響を強く受けます。「〇〇ちゃんはもう大人っぽい服着てる」「うちのクラスでは〜が流行ってる」…同世代がいれば、自然と「次のステージ」への意識が生まれてくる。でもウェンディにはそれがない。だから焦らないし、急がない。

ピーターパンも同じです。

ロストボーイズはいますが、彼らはピーターパンに従う存在。対等な友達ではありません。フック船長も同様で、手下しかいない。

つまりウェンディも、ピーターパンも、フック船長も、対等な同世代との関係を持っていない。形は違えど、この三人は「同じ穴の狢」です。そう思ってから見ると、ウェンディとピーターパンが惹かれ合うのも納得できます。二人は鏡のような存在なんです。


三人の「怖いもの」はすべて「死」だった

ネバーランドの登場人物たちには、それぞれ「怖いもの」があります。

フック船長はワニ。ピーターパンは大人になること。ウェンディは子供部屋から出されること。

これを並べてみると、全員の怖いものが「死」に収束していることに気づきます。

ワニは文字どおりの「死」。大人になることは「子供としての自分の死」。子供部屋から出されることは「子供時代の死」。

そう考えると、ネバーランドとは「死から逃げ続ける人たちが集まった場所」なのかもしれません。

もう一つ気になるのが、ウェンディがだんだん飛べなくなっていること。飛ぶためには信じる心が必要なので、ウェンディの中で何かが変わり始めている証拠だと思います。少しずつ「子供」から離れていっている…つまりウェンディにとっても、それは静かな「死」に向かっていることになります。

逃げようとしながら、でも着実に近づいている。それがネバーランドという場所の本質なのかもしれません。


ティンカーベルを「追放」したこと

ピーターパンがティンカーベルを追放するシーンがあります。

ティンカーベルはピーターパンに嫉妬し、守ろうとし、世話を焼き、翻弄される。これ、親の行動そのものだと思います。

ただ原作には、この関係をさらに深く読めるある設定があります。ティンカーベルは幼いピーターパンを拾い、ネバーランドへ連れてきたというものです。

つまりティンカーベルは「親のように振る舞っている」のではなく、文字どおりピーターパンを育てた親なんです。ピーターパンにとってのネバーランドは、ティンカーベルがいなければそもそも存在しなかった場所です。

そのティンカーベルを、ピーターパンはウェンディが現れた途端に追い出してしまう。

「大人になりたくない」と言いながら、自分を育てた存在を切り捨てるこの行動は、「親離れ」そのものです。ただ、ピーターパン自身は大人にはなれない。つまりこれは不完全な親離れです。親から離れようとしているのに、大人にはなれない、なりたくない。その矛盾を抱えたまま、ピーターパンはネバーランドにいます。

ちなみにウェンディは、冒険という「外の世界」に出て、最終的には家に帰ります。一度外に出て、ちゃんと帰ってくる。対してティンカーベルは追放されてもピーターのそばに戻ってきます。

「外に出ても帰れる子ども(ウェンディ)」と「親から離れられない子ども(ピーターパン)」。

ティンカーベルもまた、自分が連れてきた子どもを手放せないでいる。これは子離れできない親そのものです。

結局この映画には、親離れできない子ども子離れできない親が同じ場所にいて、どちらも身動きが取れないまま、という構図があるのかもしれません。その構図の「外側」に出られたのが、ウェンディただひとりだったということです。


なお続編『ピーターパン2』は、ファンの間でも名作と言われています。
ここでは大人になったウェンディとピーターパンの再会シーンもあるので、誰もが胸を熱くすること待ちがなしです!

また個人的には実写映画『フック』もおすすめしたいです。

以上、ディズニー映画『ピーターパン』のネタバレ考察でした!

ayumi

ayumi

This is the way.

ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
YouTubeも更新したりしなかったり。

FOLLOW

タグ:
関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA