【衝撃】ディズニーじゃない名作『バルト』映画が描かなかった“もう一匹の英雄”

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ayumi

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This is the way.

ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
YouTubeも更新したりしなかったり。

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今回は番外編、映画『バルト』考察です。

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え、これディズニーじゃないの????

1995年公開のアニメ映画『バルト』。犬が主人公で、絵柄はクラシックな手描きの2Dアニメーション。「ディズニープラスで観られるはず」と探した方もいるのではないでしょうか。
しかしこの作品、正真正銘のユニバーサル映画です。
当ブログで以前紹介した『アナスタシア』や『アメリカ物語』と同じ、「限りなくディズニーっぽいのにディズニーではない」名作枠になります。

そして実話を調べていくと、この映画にはもうひとつの顔があります。
それは「映画が英雄として描いたバルト以上に、危険で長い区間を走った犬がいた」という事実です。

今回は番外編として、『バルト』の魅力と、映画が描かなかった英雄トーゴについて考察していきます。

ディズニーじゃない90年代の埋もれた名作

『バルト』は1995年にユニバーサル・ピクチャーズが公開したアニメーション映画。
製作したのはスティーヴン・スピルバーグ率いるアンブリンのアニメ部門「アンブリメーション」で、監督はのちに『プリンス・オブ・エジプト』を手がけるサイモン・ウェルズ。バルトの声はケヴィン・ベーコンという豪華布陣です。

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スピルバーグ×アニメ犬と言えば『アメリカ物語』の系譜!

そう、スピルバーグ×ユニバーサルのアニメと言えば『アメリカ物語』。
あちらはディズニー出身のドン・ブルースと組んだ作品でしたが、『バルト』はスピルバーグが自前で立ち上げたスタジオによる制作。まさにあの路線の正統な後継者です。

動物たちが人間顔負けの芝居をする王道の2Dアニメーション。喋る動物、雪の大自然、いじわるなライバル犬に、コメディ担当のガチョウとホッキョクグマのコンビ。要素だけ並べれば完全にディズニーの文法で、ディズニー作品だと思われるのも無理はありません。
(ちなみに『バルト』はキャラクターが歌わない非ミュージカル。ここは90年代ディズニーとの分かれ目です。)

しかし公開時期が悪すぎました。
『バルト』の全米公開は1995年12月。そのわずか1ヶ月前に公開されたのが、世界初のフルCG長編『トイ・ストーリー』です。
時代が3DCGへ動き出す真横で公開されたクラシックな2Dアニメは劇場では大苦戦。『バルト』はアンブリメーション最後の長編映画となり、スタジオは1997年に閉鎖。スタッフの多くは、設立されたばかりのドリームワークスへ移りました。

劇場では埋もれたものの、ビデオで人気に火が付き、続編が2本も作られたあたりに、この作品の底力が表れています。

人間と狼のあいだで揺れる主人公

映画のバルトは、犬と狼の間に生まれたハーフという設定。
人間の街に居場所はなく、犬たちからは狼と蔑まれ、狼として生きることもできない。どちらにも属せない主人公です。

物語の舞台は1925年、アラスカの町ノーム。町の子どもたちがジフテリアという感染症に倒れ、その中にはバルトが慕う少女ロージーもいました。
血清を積んだ犬ぞり隊が吹雪で遭難したと知ったバルトは、飼い主のいない野良の身でありながら、仲間とともに雪原へ飛び出し、やがて遭難した犬ぞり隊を発見。帰路では自ら先導犬となり、血清をノームまで運ぶことになります。

エリート先導犬スティールの妨害、雪崩、氷の裂け目。次々に襲いかかる試練の中で、バルトを支えるのはハスキー犬のジェンナへの想いと、ロシア語なまりのガチョウ・ボリス(声はボブ・ホスキンス!)たちの友情です。
「血の半分」を恥じていたバルトが、最後は狼の血が持つ強さごと自分を受け入れて吹雪を突破する展開は、アイデンティティの物語として今観てもまったく古びていません。

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崖で遠吠えに応えるシーン、何回観ても泣く!!!!!

ちなみに本編はニューヨーク・セントラルパークの実写シーンから始まります。老婦人が孫娘に語る昔話としてアニメが展開する構成で、公園に実在する「バルト像」が物語の鍵になっています。

1925年、ノームを襲ったジフテリア

この映画、実話ベースです。ここからは史実の話をしましょう。

1925年冬、アラスカ北西部の町ノームでジフテリアが流行の兆しを見せます。子どもの命に関わる感染症ですが、町に残っていた血清はすでに古く、十分な効力を期待できない状態でした。
医師は無線で救援を求め、遠く離れた町で血清が見つかります。しかし真冬のノームは海が凍って船は近づけず、当時の飛行機では極寒の悪天候を飛べない。鉄道も途中の町ネナナまでしか通っていません。ノームは事実上、世界から切り離された陸の孤島でした。

そこで選ばれた手段が、犬ぞりでした。
ネナナからノームまで約1,085km。この距離を、20人のマッシャー(犬ぞり使い)と150頭以上の犬が昼夜を問わないリレーでつなぎ、気温が摂氏マイナス50度前後まで下がることもある吹雪の中、わずか5日半で走破します。

つまり史実の「ノームの血清リレー」は、一匹の英雄譚ではなく、壮大な駅伝だったのです。

最長・最難関を走ったのはトーゴだった

では、なぜバルトが英雄になったのか。
バルトはリレーの最終区間・約85kmを走り、血清を積んだ最後の犬ぞり隊を率いてノームに到着した先導犬でした。
到着は2月2日の午前5時30分ごろ。まだ暗く、通りもほぼ無人だったため、現在知られている到着の写真や映像は、夜が明けてから再現撮影されたものです。
それでも「血清を届けた最後のチームの犬」としてバルトの名と姿は新聞を飾り、ニュースは全米を駆け巡り、その年のうちにセントラルパークに銅像が建つほどのスターになりました。
英雄の「あの瞬間」の画すら、実は後から作られたものだった。今回の考察を象徴するようなエピソードです。

しかし米国国立公園局のトーゴ解説には、こう書かれています。
リレーで最長かつ最も危険な区間を走ったのは、名マッシャーのレオンハルト・セッパラと、その先導犬トーゴだった、と。

セッパラとトーゴのチームは、血清を受け取りに向かった往路も含めて合計261マイル、およそ420kmを移動したとされています。リレーの中で血清を運んだ区間も最長級。しかも凍結したノートン湾を横断する、氷が割れれば命がないルートを担当しました。
このときトーゴ、なんと12歳。人間で言えばおじいちゃんの域です。

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最終ランナーだけがヒーローになる駅伝、切なすぎる…。

セッパラは後年もトーゴを高く評価し続け、1960年には「これ以上の犬はいなかった。持久力、忠誠心、知性のどれも改善しようがないほどだった」と回想しています(前述の米国国立公園局のページより)。

その後の二匹の運命も対照的です。
一躍スターになったバルトは巡業ショーに出された末に見世物小屋へ売られ、劣悪な環境で飼われているところをクリーブランド市民の募金運動で救出されました。晩年は動物園で穏やかに過ごし、現在も剥製がクリーブランド自然史博物館に展示されています。
一方のトーゴは、走りの遺伝子で歴史に残りました。トーゴを含むセッパラの犬たちは、その後のシベリアン・ハスキーや「セッパラ・シベリアン」と呼ばれるそり犬の系統に大きな影響を残しています。名声はバルトに、血統はトーゴに、とも言えるかもしれません。

ディズニーが後から『トーゴー』を作った皮肉

ここで面白いのが、その後の映画化の構図です。

バルトを主人公に映画を作ったのは、ディズニーではなくユニバーサル。
そしてDisney+がスタートした翌月の2019年12月、実写映画『トーゴー』で、埋もれた英雄トーゴを主人公に据えたのは、ディズニーでした。

「ディズニーだと思われている非ディズニー映画」がバルトの伝説を新しい世代へ広め、その四半世紀後、本家ディズニーが「もう一匹の英雄」を主人公にした。
物語の主導権が一周回って入れ替わったような、見事な逆転現象です。

しかも『トーゴー』は単なる動物感動モノではなく、老いた愛犬を極寒のリレーに出すかどうか苦悩するセッパラ夫妻を描く、かなり大人向けの一本。
映画では、問題児の子犬トーゴが譲られても脱走して帰ってくる姿がコミカルに描かれますが、史実でも、よその家へ譲られたトーゴが窓を破って脱走し、セッパラのもとへ戻ってきたという逸話が残っています。実話と知って観ると余計に愛おしくなるくだりです。

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ウィレム・デフォーのセッパラ、渋すぎるので必見です!

英雄とは一匹なのか、名もなき全員なのか

念のため強調しておくと、バルトは「偽物の英雄」ではありません。最終区間を実際に走り抜いた、正真正銘の功労犬です。
ただ、20人と150頭の偉業は、そのままでは記憶するには複雑すぎた。だから人々は、ゴールテープを切った一匹の顔と名前に、物語のすべてを託したのでしょう。

人は複雑な集団の功績を、ひとつの顔とひとつの物語に集約して記憶する。
バルトとトーゴの100年は、その仕組みをこれ以上なく分かりやすく見せてくれます。

実はセントラルパークのバルト像の銘板には、バルト個人ではなく「血清を届けたそり犬たち」への献辞が刻まれています。
Endurance(忍耐)・Fidelity(忠誠)・Intelligence(知性)。
像の姿はバルトでも、称えられているのは最初から「全員」だった、というわけです。

未見の方は、この機会にぜひ『バルト』と『トーゴー』を観比べてみてください。
ちなみに2026年7月現在、『バルト』はディズニープラスでは配信されておらず、配信されているのは『トーゴー』の方です。
※配信状況は変わる可能性があります。最新情報は各サービスでご確認ください。

以上、番外編・映画『バルト』の考察でした。

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『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
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