誰も知らないディズニープリンセス|『アナスタシア』の魅力徹底考察

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This is the way.

ディズニールネサンス育ち。
『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
YouTubeも更新したりしなかったり。

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今回は映画『アナスタシア』考察です。

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それ、ディズニーじゃなくない????

『アナスタシア』をディズニー作品ととらえるかどうか、これは人によって異なるでしょう。
しかしディズニープリンセスが世間でこれだけ人気があるのに、本物のお姫様であるアナスタシアが知られていないのはもったいない!
ディズニーファンにはぜひ観てほしい作品のひとつです。

今回はそんな『アナスタシア』の魅力や複雑な事情、史実に基づく解説も交えて考察していきます。

高評価なのに埋もれた名作

まずは映画『アナスタシア』について紹介します。

愛と冒険が魔法でブレンドされた、華麗なプリンセス・ストーリー!56年に製作された映画『追想』のアニメーション版。 宮殿で幸せな日々を送っていた少女アナスタシア。しかし邪悪な魔法使いラスプーチンが皇帝一家にかけた呪いによりロシア革命が勃発。混乱の中アナスタシアはひとり残されてしまう…。華麗なパリの社交界を舞台に、繊細で色鮮やかなアニメーション贈る本格的ミュージカル・ファンタジー!

20世紀スタジオ公式サイト『アナスタシア』

1997年に公開された20世紀フォックス社が製作した初めてのアニメ作品です。

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20世紀フォックスはディズニーじゃないのでは?

正確には『アナスタシア』を製作したのはフォックス・アニメーション・スタジオ。
2019年に20世紀フォックスがディズニーに買収された際に、こちらのアニメーションスタジオも買収されています。
それに伴って、『アナスタシア』を含む20世紀フォックスが製作した作品の多くがディズニープラスでも配信されるようになりました。

しかし『アナスタシア』がディズニー作品だと言いたい理由は他にもあります。

それは豪華すぎる製作陣です。

例えば監督のドン・ブルースはディズニーで豊富な経験を積んだ人材です。
『眠れる森の美女』『王様の剣』『くまのプーさん』などで動画や原画を担当しています。

全世界で1億3,900万ドルの興行収入を上げており、これは同年公開のディズニー映画『ヘラクレス』の約半分にはなるものの、大健闘と言えるでしょう。
第70回アカデミー賞でも、最優秀主題歌賞などいくつかのノミネートを果たしています。

声優も、メグ・ライアン、ジョン・キューザック、クリトファー・ロイドなど大変豪華。

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幼少期のアナスタシアの声をキルスティン・ダンストが当てているのもすごい!✨

実際、公開当時から「ディズニーに似すぎている」などの批判はあったようですが、その他は好意的な意見が多く、指摘が多いのはどちらかと言うと歴史との相違点です。
物語の舞台となったロシア本国でも、批評家の意見は好意的だったということからも、この作品が大健闘していることが伺えます。

このような作品のポテンシャルの高さに反して、作品自体が知られていない理由は、同時期のディズニーがすごすぎたからに他なりません。

『アナスタシア』が公開された1997年は第二黄金期と言われるディズニー・ルネサンスの真っ只中。
ディズニーは黄金期の頂点こそ過ぎた頃ですが、それでも十分にネームバリューも人気もありました。
1996年『ノートルダムの鐘』1997年『ヘラクレス』1998年『ムーラン』と今でも人気のある作品が立て続けに公開されています。

また『アナスタシア』が公開された1997年は映画史に残る大ヒット作品『タイタニック』が公開された年でもあります。
『タイタニック』の全世界興行収入が22億円ですから、比べようもありませんが、映画業界自体が盛り上がっていた時代なので、ちょっとやそっとの名作では埋もれてしまうと言えるかもしれません。

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ちなみに『タイタニック』は『アナスタシア』と同じ20世紀フォックスが製作に携わった作品です!

エモい魅力しかない

ここからは『アナスタシア』の魅力について解説していきます。

まず『アナスタシア』の魅力はロマンティックなストーリー。

「ディズニーにだってロマンティックな作品はいっぱいあるじゃん」と思われるかもしれませんが、『アナスタシア』の魅力は「大人がときめくロマンティック」という点です。

『アナスタシア』の主人公アナスタシア王女は記憶喪失のまま孤児アーニャとして18歳に。
ひょんなことから詐欺師ディミトリとウラジミールの2人と知り合い、アーニャはパリに向かうというストーリー。
何かと衝突する2人ですが、徐々に心を通わせていきます。

実はディミトリは少年の頃、宮殿で働いており、アナスタシアとも多少の面識がありました。
宮殿に暴徒が押し寄せる中、アナスタシアと皇太后を秘密の通路から逃したのもディミトリ。

そんな縁のある2人が、互いに惹かれ合い、キュンキュンが頂点に達するのが船上でのワルツのシーン。

「ダンスをして目が回った」という2人ですが、ダンスが終わっても目が回ったまま。
互いが恋心を認識した瞬間です。

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はっきり好きだと言わないもどかしさにキュンキュンが止まりません!!!!!

またアーニャが本物のアナスタシアだとわかり、皇太后と引き合わせる時。
ディミトリは自身の恋心に気づいていながらも、アーニャの幸せを考えて、気持ちを告げないまま去っていきます。
アーニャも最後まで素直になれず、ディミトリと喧嘩腰のまま別れてしまうシーンがとにかく切ないです。

このロマンティックさは、1956年の映画『追憶』を基にした大人向けのストーリーが為せる技でしょう。

そしてもうひとつ大きな魅力が、哀愁漂う楽曲の数々。

例えば第70回アカデミー賞主題歌賞にノミネートされた『Journey To The Past』。

こちらは一見、主題歌にふさわしい明るく前向きな楽曲のように思えます。
しかしタイトルからも分かる通り、内容は「過去をたどる旅」について、つまり孤児アーニャが自分の出自を知りたいと願うものです。
ディズニープリンセスの歌と言えば、希望に満ち溢れた未来に向けたメッセージが込められているイメージが強いだけに、「過去にとらわれたお姫様」というのは異例かもしれません。

また劇中歌『Once upon a December』。

かつての宮殿に迷い込んだアーニャが、自身の記憶の奥に眠る「かつての12月」と対峙するファンタジー色の強いシーンに使われています。
廃墟となった広間で浮かび上がる華やかなパーティの様子は、さながらホーンテッドマンションです。
しかし哀愁漂うメロディーと歌声で、華やかなのにどこか寂しく儚げな、まさにアナスタシアの記憶そのもののような雰囲気を纏っています。
ちなみにこの曲はアナスタシアが皇太后にもらったオルゴールに使われている子守唄という設定。

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「子守唄ってどうして脅かすような歌詞ばかりなの」とはアナ雪2のハニーマレンの言ですが、『アナスタシア』の場合もその通りですね。

その他にもヴィランであるラスプーチンが歌う『In the Dark of the Night』も不気味さと迫力がたっぷりでおすすめです。あととにかくかっこいい。

歴史との相違点

『アナスタシア』の弱点と言えば、「歴史との相違点」です。
ここではどこが正史と異なるのかをいくつかピックアップします。

アナスタシアの年齢が異なる

物語の冒頭は1916年、アナスタシアは8歳という設定。
しかし現実のアナスタシアは1901年生まれなので、1916年にはすでに15歳です。

祖母マリーについて

「Together in Paris」というのがアナスタシアと祖母マリーの合言葉。
マリーはパリに住んでいるという設定でしたが、実際のアナスタシアの祖母マリアは同時期にはキエフに住んでいました。
またマリアは1928年にコペンハーゲンで亡くなっています。

ラスプーチンは裏切られていない

ヴィラン・ラスプーチンは1916年のパーティに乱入し、ロマノフ家に「2週間以内に滅亡する」という呪いをかけます。
動機は宮廷からの追放だと言いますが、具体的に皇帝とラスプーチンの間に何があったのかは明かされないまま。
呪いがきっかけでロシア革命が起こり、一家は散り散りになるという設定。
史実ではラスプーチンは最期まで皇帝一家、特に皇后の信頼を勝ち得ており、宮廷を追放されたことはありません。
ただ作中でアナスタシアを襲おうとして返り討ちに遭って凍った川に沈んでいきますが、実際のラスプーチンの死因も水死だったようです。

この『アナスタシア』および基となった映画『追憶』は、アンナ・アンダーソンの事件をベースにしたストーリーです。
アンナ・アンダーソンとは1922年に、「自分はアナスタシアである」と名乗り出た女性で、長らくその真偽は人々の注目を浴びていました。
現在ではDNA鑑定の結果、彼女はアナスタシアではないことがわかっています。
しかし彼女を支持した人物は多く、生前のアナスタシアを知る身近な人物ですら、アンナのことを信用していたというのが驚くべき点です。

実在のアナスタシアが悲劇的な最期を迎えたのに対し、『アナスタシア』では華やかな部分が強調され、血生臭さはありません。
その改変こそが、大公女であるアナスタシアへの冒涜だという批判もあったようです。

しかし史実に基づいたファンタジー作品としては、あらゆる面で魅力的であり、打ち捨てておくにはもったいない名作と言えます。

純プリンセス映画であり、今では貴重な2Dのちょっと懐かしいヴィジュアルも魅力的です。
素敵な音楽やちょっぴり哀愁漂うロマンティックなストーリーを、この機会にぜひ楽しんでいただきたいと思います!

以上、映画『アナスタシア』の考察でした。

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『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
ディズニーとスターウォーズ界隈を行ったり来たりしています。
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