なぜジャックは歳を取らないのか|『タイタニック』=ピーターパン説を考察

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ayumi

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『アラジン』は一生で一番多く観た映画になる予定。
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1997年公開の映画『タイタニック』ネタバレ考察です。

説明不要の恋愛超大作。世界中が泣いた不朽の名作……なんですが、何度も観返しているうちに、私はどうしても消えない確信を持ってしまいました。

これ、『ピーターパン』じゃないか?

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豪華客船の悲劇の顔をしてるけど、骨組みはネバーランドの話なんですよ…!

まずは登場人物を並べてみてください。

ピーターパンタイタニック
ピーター・パンジャック
ウェンディローズ
フック船長婚約者キャル
ネバーランドタイタニック号(沈んだ海)

こじつけに見えますよね。でも並べるほど、偶然では片づけられなくなっていきます。

ジャックとローズは、ピーターとウェンディの実は…

ジャックというキャラクター、改めて見ると驚くほど「ピーター」でできています。素性は謎(賭けで当てたチケットで飛び乗ってくる)、財産も帰る家もなく、持ち物はスケッチブックひとつ。ルールに縛られず自由に生き、少女に「今を生きる」を教え、そして忽然と消える

どこからともなく現れ、少女を一時だけ連れ出し、また去っていく。窓から来て窓から去るピーターの動線と、まるで同じなんです。

いっぽうローズは、コルセットとマナーと家柄でがんじがらめの令嬢。あの華やかな一等船室は、ウェンディにとっての「子ども部屋」そのもの。だからこそ、飛び方を教えてくれる存在に出会ってしまうんです。

「飛ぶ時は一緒でしょ」という飛行呪文

『タイタニック』でいちばん有名なシーンといえば、船首で両手を広げてローズが叫ぶ、

「I’m flying, Jack!(飛んでるわ!)」

ジャックが後ろから支え、ローズは生まれて初めて「飛ぶ」。これ、ピーターがウェンディに空の飛び方を教える場面そのものなんですよね。

そしてこの映画には、始まりと終わりで二度くり返される名台詞があります。

「You jump, I jump.(飛ぶ時は一緒でしょ)」

一度目は、絶望したローズが身を投げようとする冒頭。ジャックがこの言葉で引き戻す。二度目は終盤、いったん救命ボートで助かったローズが、自ら飛び降りて沈む船のジャックのもとへ戻る場面です。

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英語だと jump(飛び降りる)だけど、日本語にすると“飛ぶ”になる。ピーターパンと同じ言葉になっちゃうの、出来すぎでは…?

「一人で飛ぶ」んじゃなくて「一緒に飛ぶ」。ピーターとウェンディがそうだったように、二人はいつも「一緒に飛ぶ」約束で結ばれているんです。

悪役はフック船長=婚約者キャルだった

ピーターに敵がいるように、ジャックにも敵がいます。ローズの婚約者キャル。彼を並べると、これがまた見事にフック船長なんです。

お金と権力を持った“大人”の側で、ローズを愛ではなく「所有物」として扱う。自由な少年ジャックに激しく嫉妬し、クライマックスでは拳銃を握りしめて、沈む船の中を二人を追いかけ回す。

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フック船長がカギ爪で執念深くピーターを追うのと、キャルが拳銃でジャックを追うの、構図がそっくりなんですよ。

「少女を閉じ込めておきたい執着した大人」対「少女に自由を教える歳を取らない少年」。この対立こそ、フック船長とピーターパンの関係そのもの。キャルは、燕尾服を着たフック船長だったんです。

歳を取らない男と、歳を取った女

ピーターパンの本当の切なさは、ピーターは永遠に子どものまま、ウェンディだけが大人になるという非対称にあります。

『タイタニック』も同じ。ジャックは約20歳で海に沈み、二度と歳を取らない。ローズは101歳まで生きて、皺だらけのおばあちゃんになる。しかも物語を語っているのは、いつも歳を取った側。ピーターパンが大人になったウェンディの語りで閉じるように、『タイタニック』も老ローズの回想として進みます。

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永遠の少年(ジャック=ピーター)は、いつも“語られる側”にしかいられない。ここに気づくと、ちょっと泣けます…

海の底の「常若の国(ティル・ナ・ノーグ)」

でも決定打は、映画が自分の口で言ってしまっていることなんです。

沈みゆく船内。逃げ場を失ったアイルランド人の母親が、子どもたちをベッドに寝かせ、子守唄がわりに昔話を語ります。その最後のひとこと

「そうして二人は ティル・ナ・ノーグ永遠の若さと美の国で、300年ものあいだ幸せに暮らしました」

ティル・ナ・ノーグ(Tír na nÓg) は、ケルト神話の「常若の国」。歳を取らず、悲しみも老いもない楽園です。しかも母親が語るのはオシーンとニアヴの伝説、楽園は“海を越えた先”にあるという話。沈む船の中でこれを選ぶって、出来すぎていませんか。

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船が海に沈むまさにその瞬間に、“これから海の底の、歳を取らない永遠の国へ行くんだよ”って、静かにネタバレしてるんですよ…!

そしてラスト。老ローズが息を引き取り、タイタニックへ戻ると、あの日のまま、若く輝くジャックが待っていて、乗客みんなが拍手で迎える。海の底に沈んだタイタニックは、そのままネバーランド=ティル・ナ・ノーグになった。ジャックは、そこの永遠の少年になったんです。

そして物語は『フック』につながる

「歳を取らない少年」と「歳を取ってしまう者」。この対比、このブログのどこかで書いた気がしませんか。

そう、映画『フック』はピーターパン実写なのになぜこのタイトルなのかで取り上げた『フック』です。

『フック』は、ネバーランドを忘れて大人になったピーターの物語。だとすると老ローズは、その裏返し。大人になっても、あの海の日々を一度も忘れなかったウェンディなんです。

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『フック』が“忘れて取り戻す話”なら、『タイタニック』は“忘れないまま生き切る話”。同じピーターパンの、別の答えなんですよね。

豪華客船の悲劇の顔をした、もうひとつの『ピーターパン』。そう思って観返すと、あのラストの拍手が、また少し違って聞こえてくるかもしれません。

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